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アステカ帝国やインカ帝国に関する記述では、それらの帝国を滅ぼしたスペイン人の征服者(コンキスタドール)であるコルテスとピサロに言及し、彼らの肖像が描かれた2枚のスペイン旧紙幣の写真を掲載している。そして「スペインって、新大陸でやったことを反省してないみたいネ」と書き添えている。
明の朱元璋(洪武帝・太祖)に関する説明では、「いかんせん顔が悪かった。(…)顔も悪ければ心も悪い。中国の歴史上最も陰険で疑り深い皇帝といわれています。(…)だからせめて、国の名前ぐらいは“明”に(…)」と語り、朱元璋の顔のイラストを載せている。その化物顔が爆笑ものである。
本書にはいろいろな書籍紹介が表紙写真つきで載っていて、講師(著者)の評価や読書体験も語られている。それは、大学生になったらいい本を読めというメッセージでもあり「大学のときに軽いものばかり読むのはダメです。すぐに役立つ本は、すぐに役立たなくなるものです」と述べている。「すぐに役立つ」ことを目指した受験書にこのメッセージがあるのが面白い。
多少の息抜きが散りばめられてはいるが、本書は総じてハードで盛り沢山な濃い講義の記録であり、高校世界史の広範さにあらためて驚いた。ここで扱われている事項の意味と因果を明確に把握するのは容易ではない。高校世界史とは言え、その追究は結局のところは私たちの生きている世界の事象を考える終わりなき探求にならざるを得ない。
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